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【前編】半導体製造工程と関連銘柄まとめ
半導体製造の解説も中盤に差し掛かりました。前編では回路を「焼き付ける」までの工程を解説しましたが、中編では焼き付けた後の余分な部分を取り除いたり、表面を平らにしたりする「仕上げ」に近い前工程と、いよいよウェハをバラバラにして形にしていく「後工程」の入口を解説します。
3-4. エッチング工程と関連銘柄
エッチング工程は、成膜やリソグラフィで形成したパターンに沿って、不要な材料を削り取る工程です。彫刻刀で少しずつ削っていくようなイメージですが、実際にはプラズマや化学反応を使って目に見えない微細な加工を行います。ここが正確でないと回路がショートしたり断線したりするため、非常に高い精度が求められます。
エッチング装置市場は米国のラムリサーチが圧倒的なシェアを誇ります。TSMC・Samsung・Intel等の先端ファブで不可欠な存在です。東京エレクトロンも洗浄装置などとの連携で高い存在感を示しています。日立ハイテクは高精度・高信頼性で評価されています。微細化・3D化・AI半導体需要の拡大で今後も成長が期待されます。
| 企業名 | 国 | 主な役割・強み | なぜ重要か |
|---|---|---|---|
| ラムリサーチ | 米国 | エッチング装置世界トップ(シェア約55%) | 3D NANDや先端ロジック製造で不可欠な存在 |
| 東京エレクトロン | 日本 | エッチング装置世界2位(シェア約25%) | 成膜・洗浄装置と連携した「総合力」での強み |
| アプライドマテリアルズ | 米国 | エッチング装置世界3位(シェア約15%) | 総合装置メーカーとしての幅広いプロセス対応力 |
| 日立ハイテク | 日本 | エッチング装置・計測装置 | 高精度・高信頼性で評価が高い |
3-5. 洗浄・CMP(化学機械研磨)工程と関連銘柄
洗浄工程は、ウエハ表面にある微粒子や不純物を取り除く工程です。少しのゴミも許されない半導体製造において、全工程の約3割が洗浄に関連すると言われるほど頻繁に行われます。CMPは回路の凹凸を削って平坦にする工程で、高層ビルを建てる前の「土地の整地」のような役割を果たします。
CMP装置では荏原製作所やアプライドマテリアルズ、洗浄装置ではSCREENや東京エレクトロンといったが世界シェアの大半を占めています。富士フイルムはCMPスラリー(半導体ウェーハの表面を化学的・機械的に平坦化するための研磨液)・洗浄剤で存在感。微細化・3D化・AI/HBM需要で今後も市場拡大が見込まれます。
| 企業名 | 国 | 主な役割・強み | なぜ重要か |
|---|---|---|---|
| アプライドマテリアルズ | 米国 | CMP装置世界トップ(シェア約53%) | メモリ・ロジック両対応、材料も幅広く展開 |
| 荏原製作所 | 日本 | CMP装置世界2位(シェア約37%) | メタル系CMPやハイブリッドボンディングで強み |
| 東京エレクトロン | 日本 | 洗浄装置世界トップクラス | 枚葉・バッチ式両対応、洗浄プロセス全体をカバー |
| SCREENホールディングス | 日本 | 洗浄装置で世界シェア上位 | 微細洗浄技術に特化した圧倒的な強み |
| 富士フイルム | 日本 | CMPスラリー・洗浄剤 | 最先端の研磨剤やクリーンケミカルを提供 |
4. 後工程
前工程で作られた「回路がびっしり詰まったウェハ」を、最終的な製品の状態へと仕上げるのが後工程です。ここからは「ナノ」の世界から、もう少し人間が触れるサイズ(といっても非常に小さいですが)へと移っていきます。
4-1. ダイシング(切断)工程と関連銘柄
回路が形成された丸いウエハを、個々の四角いチップ(ダイ)に切り分ける工程です。薄く脆いウエハを、回路を傷つけずに高速に、かつ正確に切り離す「超精密なカット技術」が求められます。
ディスコはダイシングソー(切断機)で世界トップシェア。ブレード・レーザ・ウォータジェット等多様な切断技術で最先端・量産両対応しています。東京エレクトロンはダイシング後の自動搬送・テスト装置で強み。高集積化・薄型化・多層化に伴い、切断技術の高度化が進んでいます。
| 企業名 | 国 | 主な役割・強み | なぜ重要か |
|---|---|---|---|
| ディスコ | 日本 | ダイシングソー世界トップシェア | 切断・研削・研磨の「Kiru, Kezuru, Migaku」で世界一 |
| 東京エレクトロン | 日本 | ダイシング後テスト・搬送装置 | マルチプロービング対応の自動搬送装置に強み |
4-2. ボンディング工程と関連銘柄
切り出されたチップと、外部の電気回路(パッケージ基板など)を接続する工程です。細い金の線でつなぐ「ワイヤボンディング」や、金属のコブで接合する「フリップチップ」などがあります。近年はAI半導体向けに、チップを積み重ねて直接接合する「ハイブリッドボンディング」など、さらに高度な技術が注目されています。
Kulicke & Soffaはワイヤボンダ(半導体チップと外部電極を接続するもの)で世界最大手。東京エレクトロンはウエハボンディング装置(2枚以上のシリコンウエハを接合する装置)でTSV・Cuハイブリッド接合など、チップを3D化する技術に長けています。高密度・高信頼性・低コスト化が今後の課題です。
| 企業名 | 国 | 主な役割・強み | なぜ重要か |
|---|---|---|---|
| Kulicke & Soffa | 米国 | ワイヤボンダ世界最大手 | 業界標準の接続技術と先端プロセスへの対応力 |
| 東京エレクトロン | 日本 | ウエハボンディング装置 | TSV(シリコン貫通電極)等の次世代接合に強み |
| ASMPT | 香港 | ワイヤボンダ・フリップチップ装置 | パワー半導体や先端パッケージ向けの幅広いラインナップ |
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